最終更新 2024年5月23日
特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
象となる分野は11分野
在留期限は3年、1年、6か月ごとの更新で、更新の上限はありません。
各分野での熟練した技能が必要ですが、永住権の可能性を高めたり、家族の帯同が許されるなどの魅力が満載です。
特定技能2号 | 特定技能1号 | |
---|---|---|
在留期間 | 3年、1年、6か月ごと (更新上限はなし) | 1年、6か月、4か月ごと (通算最大5年まで) |
技能水準 | 熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能 |
永住権の獲得 | 可能性あり | 不可 |
家族の帯同 | 可能 | 不可 |
特定技能2号は特定技能1号よりも高い技能水準が求められます。
外食業を例にみていきましょう。
特定技能1号外食業では、
→店長などの指示を受けながら、調理、接客に従事します。
しかし特定技能2号外食業の場合は
→自身が店長クラスとなり、アルバイトや社員を束ね、指導しながら調理や接客に従事します。
このように特定技能2号になるためには人を束ねたり、仕事がこなせる能力が求められます。
出入国在留管理庁のガイドラインによると永住許可の条件のひとつが以下のように公開されています。
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
特定技能2号は上限がないため、10年以上在留をクリアすることができます。しかし、特定技能1号ではこの条件すらクリアできません。
特定技能1号では原則的に家族の帯同は認められていません。
しかし特定技能2号では配偶者とその子供であれば要件を満たせば日本に呼び寄せることができます。さらに配偶者とその子供には在留資格が付与されます。
家族帯同にかかる要件とは大きく分けて2つ
子供は年齢や実子、養子ともに認められますが、成人している場合扶養を受ける必要性を別途資料で用意しておくことが望ましいでしょう。
特定技能2号になるための条件は「特定技能外国人受入に関する運用要領」において記載されています。
18歳以上でなくてはいけないのは入国予定日になります。
また、申請日が18歳未満であっても問題はありませんが、不許可になるケースもあるので注意しましょう。
申請日の3か月前を目安とした健康診断の提出で健康状態が良好であることを示します。
さらに結核が流行している地域からの入国の場合、健康診断とともに結核スクリーニング検査が必要です。
熟練した技能を有していることはそれぞれの産業分野によって異なりますので、それぞれ確認しておきましょう。
分野 | 試験 | 条件 |
---|---|---|
ビルクリーニング | 「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」 又は 「技能検定1級」 | 建築物の清掃に複数の作業員を指導しながら従事し、管理者として2年以上 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 「製造分野特定技能2号評価試験」及び「ビジネスキャリア検定3級」 又は 「技能検定1級」 | 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験、3年以上 |
建設 | 「建設分野特定技2号評価試験」「技能検定1級」 又は 「技能検定単一等級」 | 建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し工程を管理する者(班長)として0.5年~3年以上(職種による) |
造船・舶用工業 | 「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」 又は 「技能検定1級」 | 複数の作業員を指揮・命令・管理しながら、造船・舶用工業における実務経験が2年以上 |
自動車整備 | 「自動車整備分野特定技能2号評価試験」 又は 「自動車整備士技能検定試験2級」 | 道路運送車両法第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場における実務経験 |
宿泊 | 「宿泊分野特定技能2号評価試験」 | 国内外の宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に従事した実務経験が2年以上 |
農業 | 「2号農業技能測定試験」 | 農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験が2年以上 又 農業の現場における実務経験が3年以上 |
漁業 | 「2号漁業技能測定試験」及び「日本語能力試験N3以上」 | ・漁業区分 漁船法上の登録を受けた漁船ににおいて操業を指揮監督する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験を2年以上 漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験2年以上 |
飲食料品製造業 | 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」 | 飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験が2年以上 |
外食業 | 「外食業特定技能2号技能測定試験」及び「日本語能力試験N3以上」 | 飲食店において複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導、監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャーなど)としての実務経験が2年以上 |
特定技能外食業2号試験の第一回試験は既に2024年3月末に開催され、既に合格者が出ています。
特定技能外食業2号試験の第二回目は以下のスケジュールとなっています。
試験申し込み 2024年3月21日~3月27日23:59
受験者同意と受験料のお支払い 2024年3月27日~4月2日23:59
試験日 2024年5月28、29日
特定技能外食業2号試験の1回目の試験結果はOTAFF公式サイトより公開されています。
特定技能外食業2号試験の第1回目試験は292人が受験し、合格者数は113人でした。つまり第一回目試験の合格率は約39%。試験参加者によると早々に退室する方も多く見かけたようで、しっかりとした受験勉強が欠かせません。
受験者によるとテストは全て3択のマーク形式で50〜70問ほどとのことです。
そこで合格者に学ぶ特定技能外食業2号試験の合格ポイントをいくつか紹介します。
特定技能外食業2号の試験では【店舗運営】や【衛生管理】分野からの出題が多くみられました。中でも
【店舗運営】
売上計算などの公式
【衛生管理】
食中毒菌
食材の調理方法
洗剤の種類と特徴
これらの暗記は配点も多く、覚えていないと解けない問題です。特定技能2号外食業の合格のためには、【店舗運営】や【衛生管理】の分野を入念に勉強するとよいかもしれません。
配点も多く、そして単純な暗記で点を稼げる【衛生分野】の暗記をお勧めします。中でも食中毒菌などは、暗記しておくとよいでしょう。
分野に関わらず、設問のひっかけ問題に注意が必要です。
日本語特有の文末で意味が異なるような問題が多く、しっかりと問題を最後まで読まなくてはいけません。
しっかりと日本語が理解できるように、普段から漢字も含む日本語の勉強をしておくとよいでしょう。
このほかにも特定技能2号外食業試験の合格者のインタビューフル動画や、第一回目試験での設問部分をマークしたテキスト教材を公開しています。
ぜひ、第二回目試験以降で合格を目指している方は確認してみてはいかがでしょうか?
外食業特定技能2号試験第一回試験にて頻出した重要ポイントをマークしたテキストを公開します。
外食業特定技能2号
技能測定試験 学習テキスト
【店舗運営】
令和5年12月27日
一般社団法人 日本フードサービス協会
< はじめに >
このテキストは店舗運営に必要な知識と店舗の運営に携わるものとして特に注意すべき事項について記載
したものです。これ以外のケースについては、関係法令などに基づき適切に運営をおこなってください。
目次
1.総論 外食産業の店舗運営.......................................................................................1
(1)外食産業の成功のポイント
(2)店舗を運営管理する人とマネジメント
2.店舗運営に必要な計数管理.......................................................................................3
(1)店舗運営に必要な指数用語の定義
(2)労働時間をコントロールするためには
(3)客数を増やすとは
(4)客単価を上げるとは
3.発注管理と検収(検品と収納)管理 .....................................................................13
(1)発注管理と発注の仕組みづくりの参考例
(2)正しい棚卸しと検収(検品と収納)作業のポイント
4.販売管理 .....................................................................................................................16
5.顧客管理 .....................................................................................................................17
こ よう かん り
6.雇用管理 .....................................................................................................................18
(1)労働時間と割増賃金
(2)休憩時間、休日
(3)年次有給休暇
(4)採用面接の仕方
(5)採用初日のオリエンテーションと基礎訓練
7.人材の育成指導 .........................................................................................................20
(1)スキルを教えるスタンダードとなる要素
(2)人材育成の基本体系
(3)重要なサービスの型の体得
(4)大切な発声練習
(5)OJT と OFFJT の基礎知識
(6)トレーニングの4ステップ
8.防火・防災管理 .........................................................................................................22
(1)防火管理者
(2)火災の基礎知識
(3)避難でのポイント
(4)防火対策
(5)消防訓練の実施
(6)具体的な対策
(7)マニュアルの確認
(参考1)QSCのスタンダード(基準とすべきレベル)例 .........................................................2
(参考2)人件費管理指数の計算例.............................................................................................7
(参考3)計数管理公式問題例...................................................................................................8
(参考4)最重要接客用語集 ...................................................................................................21
(参考5)緊急時の行動基準 ...................................................................................................25
(参考6)マネジメント基本用語................................................................................................26
1.総論 外食産業の店舗運営
(1)外食産業の成功のポイント
外食産業は、立地産業であるため商圏は限定(お客様の来る範囲が限られている)されています。また
1回に使用する金額(客単価)も決して大きくはありません。
それでも損益分岐点を超え、長年にわたり経営を継続するには商圏内のお客様に繰り返し来店してもらう
以外に方法はありません。そのためには、おいしく魅力にあふれた商品を心のこもったサービスで気持ち良
く、明るく・楽しく・快適な雰囲気の中で適正な価格で安定して提供し続けることが大切です。
外食産業として成功するためには、QSC(Quality=商品の品質、Service=心のこもったサービス、
Cleanliness=清潔さ)が不可欠です。どんな業種・業態でも自店のあるべき QSC のスタンダード(基準
とすべきレベル)をつくり、それを維持することはもちろん、より向上させることで、客数を増加させるこ
とが可能となるのです。また、業態に見合った店の BGM や照明など店の雰囲気(Atmosphere=A)も重
要です。
今後はサービスの質が一層重要になります。その本質はそれぞれの店で「働く人の質」です。「サービス
はお客様の数だけある」と言われます。お客様の立場に立ったマニュアル(定型サービス)を超えた気配り
や、思いやりにあふれた個別対応のサービスが求められます。「お客様の喜びを自分の喜びとする心」をホ
スピタリティ(Hospitality=H)といいます。この心は店内のチームで働く仲間に対しても重要です。
生産性アップのため料理運びや下げもの(バッシング)など、作業に関してはロボット化がさらに進行し
ます。そのため業態に関わらず人でなければできないホスピタリティにあふれた接客サービスは、より重要
になります。
外食産業を成功させるために必要なものは QSCA+H です。
(2)店舗を運営管理する人とマネジメント
外食産業の店舗の運営について責任のある人(店舗責任者)は、店長、副店長、店長代理、時間帯責任 しゃ よ
者などと呼ばれています。
このうち時間帯責任者は、店舗オペレーションのデイリーワークの中で時間帯における店長の職務を代行
する人です。
①時間帯責任者の職能
時間帯責任者の職務を遂行するためには、
・対象時間帯の店舗オペレーション(QSC スタンダード維持)責任者
・対象となる時間帯のマネジメント※(従業員の育成とトレーニングを含む)
の職能が必要です。
※上記のマネジメントとは、原価管理に関する発注・検品収納管理、水道光熱費などコスト管理、
顧客管理(カスタマリーリレーションやクレーム対応)、人件費に関する時間管理や不足要員の手配
などです。
具体的な職務及び責任・権限・責務(報告)に関する詳細については、勤務する店舗の店長に確認し ます。
②時間帯責任者は自店の業態や客単価に見合った QSC のスタンダード(あるべき基準)を的確に理解
し、部下にトレーニングし、オペレーションをとおして顧客接点で具現化させる必要があります。
じ かんたいせきにんしゃ ひ び なか じ てん しょうひん ひんしつ 時間帯責任者として日々のオペレーションの中で、自店の Q=商品のクオリティ(品質)のスタン いじ さら せっきゃく きょういく てってい ダードを維持。更にマニュアルにある S=接客サービスのスタンダードを教育・トレーニングして徹底
ひつよう せいそう さ ぎょう ほ じゅうてんけん さ ぎょう てってい する必要があります。それらのベースとなるのは、清掃作業や補充点検作業の徹底による、あるべき てんないかんきょう せいけつ じょうたい
店内環境 C=クリンリネス(清潔な状態)です。
※ファイルは、PDF形式となっております。開けない場合は、Adobe Readerをインストールしてください。